横尾地獄への道 (上)
私がキスマイを知ったのはいつだったか。ドラマ「プライスレス」は見ていた。藤ヶ谷さんもそこで知った気がする。この人ジャニーズなんだ、くらいにしか思っていなかった2012年、二年前の秋。
私は、基本的にタレントやアーティスト、音楽、アニメ、ゲームなどなどそういう文化に疎い。無趣味に近かった。
それでも、高校から大学へとそこそこではあるが順調に年を重ねた。レールから外れることなく、面白味のない優等生だったのかもしれない。
昨年の夏に、一番の友人と仲違いをした。原因はお互いにそれぞれあり、私は自分のとってしまった態度を悔いながらも、自分から相手と仲直りしようとするほど相手を許すことも出来ず、その他サークル・試験勉強・インターンシップなどから他にも辛いこともあり(くわしくは割愛するが)気持ちに余裕がなかった。それまで人とそこまでの仲違いを経験したことがなく、まず第一に自分がそんなことをしでかしたことにダメージをうけた。
私はそれらの感情にフタをしようとした。複数の友人から考え過ぎと言われたからだ。なにも状況は変わらなかった。当たり前だ。私はどうすべきだったのか、何か私に大きな欠陥があるのではないか、がんばったけど意味なんてなかったのではないか、そんな私なんか実はもう誰も好いてくれていないのではないか、時々すごくかなしくなった。
そもそもほぼ無趣味な私は、現実から離れるための術がなかった。そこで、偶然聴いたのがキスラジだった。そこではメンバーがわちゃわちゃしていて、楽しそうで、しょーもなくて、面白かった。もともと周りに男子が多い環境もあり、こういう男子高校生のようなノリは好きだった。現実から逃れたいがために、過去のものはほぼ全て聴いた。面白かった。それと同時に、口ではからかいふざけあいながらも、彼らがお互いを信頼しているのを感じた。
キスマイの歌番組など動画も探し、見まくった。デビュー前のギラギラしている彼らも最近の丸くなった彼らも見て、キスマイの曲を聴くようになった。そこで、当時一番心に響いたのがsmileだった。
君の笑顔でこれだけの人が笑ってるのに
ひとりじゃないと気づいて欲しいよ
いつかこの涙も笑顔に変わる日が来るから
君にはずっと笑っていて欲しいよ
(2)へ続く
